長く使えるFisslerフィスラー社の製品のはずだが
Fisslerフィスラー社といえば圧力鍋。
わが家のキッチンでも、玄米を焚いたり、野菜を調理したりと、活躍する頼もしい鍋である。
高性能ながら、シンプルで耐久性も高い。補修パーツの供給もバッチリ。
信頼できるキッチン用品のメーカーだったのだが。昨日までは。
愛用のケトルの取っ手が外れそう。フィスラー社へ修理の依頼を
わが家には圧力鍋のほかにもうひとつ、フィスラー社の製品がある。
1980年代から毎日休まず使い続けている、フィスラー社の『ベルリン』というシリーズのステンレス製のホイッスル付きのケトルである。
朝起きてまず行うのは、このケトルに水を入れて、お湯を沸かすこと。
365日×朝昼晩、わが家のケトルは忙しく働いてくれている。
水が沸騰すると、ケトルの注ぎ口の蓋のホイッスルがけたたましい音で鳴り響くので、近所迷惑になる前に素早くガスコンロの火を消さなければならない。
そんな愛用のケトルの取っ手(ステンレス製)が、グラグラしてきたことに気づいたのは先日のこと。使うたびに、取っ手のグラグラが大きくなってきた。取り付け部分の根元をチェックしてみると、4か所溶接されていたうちの2か所が外れていた。グラグラの原因はこれである。溶接がとれてしまっていたのだ。
フィスラー社カスタマーサービスの残念な対応
溶接が取れてしまっただけだからね。素人目にも外れたところを溶接をすれば簡単になおる程度の修理で済むと察しがついた。
さっそく、メーカーのフィスラー社へ修理の依頼をすることにした。ケトルの取っ手の溶接が一部外れている状況を書き、修理をお願いしたいという内容のメールをフィスラー社のカスタマーサービスへ送った。
そして、スタマーサービスから返ってきたメールはなんともあっさりした内容の紋切り型のコピペのような文面。なんともつれない対応である。
信頼のものづくりメーカーとして胸を張るフィスラー社とは思えない内容にちょっとびっくりした。
今どきのAIでも、もっと人間味がある、親身になった回答をしてくれるだろう。
フィスラー社、お前もか。
信頼していたメーカーだけに、がっかりした気持ちになった。
(ちなみにフィルラー社からの返信メールはこんな感じ)
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まぁ、日本の輸入代理店にありがちなカスタマーサービスの対応でもある。
ここは気持ちを落ち着かせ、とりあえず、ケトルの取っ手の修理してくれるところを探すことにした。
自転車の溶接もケトルの溶接も同じ
溶接、溶接。ケトルの溶接。
『溶接』で頭に浮かんだのは自転車製作工房。自転車のフレームは溶接で作っているからね。
自宅から自転車で行ける場所に自転車工房があった。
自転車を作るところでケトルの修理を相談するというのは、やはりちょっと躊躇するものだが、治らなければ困ってしまう。恐る恐る(自転車ではなく)ケトルの取っ手の溶接をお願いできないかと、小さな声で尋ねてみたら、なんとラッキーなことのに快く引き受けてくれたのだ。
「溶接には変わりない。ステンレスのケトルの溶接は大丈夫だ」という神の声。
自転車製作工房の主が自転車仲間だったということもあっただろうが、こんな小っちゃな面倒な仕事に時間を割いてくれた友人には感謝しかない。
世田谷で一番美味しいロールケーキとささやかな修理代金をお渡ししたが、これだけではとても足りないと思う。
自転車製作工房 BYOB Factory Tokyo
ケトルの取っ手の溶接でお世話になった自転車製作工房は新宿区落合の「BYOB Factory Tokyo」。*BYOB”はBuild your Own Bikesの略です。
自転車好きで自分で自転車を作りたい人(モノづくり素人でも誰でもOK)の夢をかなえてくれる場所である。ここは、工房のスタッフのアドバイスやサポートを受けながら、自分の作りたい自転車を自由にデザインし、自分の手でフレームを組み立て溶接し、自分の好みのカラーに塗り、好きなパーツで自転車を自由に組み上げて自分だけの自転車1台を完成させるところ。自由な自転車を妄想して現実できる夢のような不思議なDIYの自転車製作工場である。
自由なイメージで、自分の手で自分の自転車を作りたい!
興味を持った人はぜひ「BYOB Factory Tokyo」をお訪ねください。
Build your Own Bikes の思想は素晴らしいと思う。
愛着のある製品を大切に長く使う
自転車でもケトルでも、僕はシンプルで飽きのこない気に入った製品を選び、それを大切に長く使うことを暮らしの信条としている。
長年同じ製品を使っているとやはり、定期的なメンテナンスで長く使えることになるし、リペアや修理も必要になる。
本来、製品の修理は製造メーカーが責任をもって一生涯対応してほしいもの。そえくらい自社製品愛がメーカーにあってもいいと思うし、それぐらいの情熱と心意気でモノづくりをしてほしいものである。
今回、ケトルを修理してくれたのは製造メーカーのFissler社ではなく、友達の自転車フレームビルダーだった。
製品も会社も「人」である。
人を見れば製品も会社もわかる、というのは嘘ではない。
溶接修理で復活したわが家のホイッスルケトル
フレームビルダーの手によって、取っ手部分が溶接が以前より強力になったケトル。
毎日、キッチンで沸騰を知らせる威勢のいいホイッスルを響かせている。
わが家の日常はもとに戻った。
「BYOB Factory Tokyo」の皆さん、お騒がせしました。
ありがとう!