Holoholo Diary 555blog

自転車とアップサイクルでミニマムインパクトな暮らしへ。55nat.com ナット&カンパニー 白猫屋 のブログ

スノーキャンプ。になってしまった。

久しぶりにモノシリ沼の仲間とキャンプに出かけた。

11月下旬の長野。
標高は1,300メートル。
過酷な寒さは覚悟の上で、厳冬期の装備と心構えで過ごした週末の二泊三日。
何も特別なことをしない山の週末だった。

わかっちゃいたけど、気まぐれな山の天気

出発は生憎の雨。

テントとスリーピングバッグを詰め込んだ Synergy Works のバックパックを背負って、足元はワークブーツから長靴に履き替えて家を出た。
荷物が濡れないようにパックの中の荷物をビニール袋に収めた。

早朝6時42分の電車はそれほど混んではいなかった。大きなバックパックを背負った1970年代バックパッカー風のオジサンが、通勤客の迷惑になるかもしれないという憂鬱を避けられてほっとした。

待ち合わせ場所の駅で降りて、仲間と合流、クルマに乗り込んで雨のなか目的地へ向かった。

お昼をすぎたころには雨が上がった。太陽も出てきた。よしよし。
週末は晴れるという天気予報通りでよかった。

現地には午後3時に着いた。

11月の日没は早い。
大急ぎでテントとタープの設営。
それからコールマンのツーバーナーに火を入れてお湯を沸かし、炭を起こし、パンとスープの質素な夕食をとった。

陽が落ちると気温が急に下がる。

夜空を見上げると、星の美しさに感動。
初冬の山で見る星は格別である。
防寒対策をしっかりして、澄んだ空気の寒さのなかで過ごすのはなかなか楽しい。

そんな特別な非日常に浸っていると、山から吹き下ろす風が強くなってきた。
風は冷たく容赦ない。

瞬く間に天候は急変。
なんと雪が降りはじめた。
こんなはずではなかった。
まだ南の空は星が輝いているのに。今晩の天気予報は晴れだったはず。

突然の雪に、僕らのキャンプはさらに”非日常”となった。

まさかの雪。スノーキャンプ

朝起きるとテントの外は白いモノクロームの世界だった。
昨日の秋から景色は一変した。

これではスノーキャンプではないか。

肌を刺す寒さはカラダと気持ちの両方を引き締める。
このピリッとする感覚は悪くない。

「寒いとは思っていたけどね、まさか雪が降るとは」と顔を見合わせた。
誰も悲壮感はまったくない。嬉しそうなのである。

朝食の準備を始める頃には太陽が出てきた。

良くも悪くも山の天気は急変するもの。青空が戻ってきた。
降った雪は午前中に溶け、澄んだ山の空気が気持ちいい。

1970年代の古き良き時代のテント

仲間が持ってきた1970年代の古いテントを張り、メンテナンスをした。

1970年代に製造されたテントは機能美にあふれ、個性的で優れたデザインが多い。
眺めていても、使ってみても実に楽しい気持ちにさせてくれる。
その訳は開発した人の想いや考え方、縫製を担当した人の創意工夫が製品を通して伝わってくるのを感じるからなんだろう。

使っていて楽しい製品というのは素晴らしい。

キャンプサイトで暖かい夜を過ごすために

11月のキャンプとなれば万全の寒さ対策とそれなりの覚悟が必要だ。
それは過去の痛い経験から学んだ。
予想外の寒さにすっかり怯んでしまい、キャンプを止めて帰ってきてしまったというなんとも情けない出来事を思い出す。

今回のテントは30数年前に製造されとはいえ、4シーズン用のMOSSのリトルディッパー(第1世代)。山からの風雪を防ぐシェルターとしての役目を完璧に果たしてくれた。
粉雪が入ってくるようなファミリーキャンピング用のテントではなく、山岳用の4シーズンテントがあるといい。

そして、暖かい夜を過ごさせてくれたのは(これも古く製品だが)40数年前に製造されたザ・ノースフェイスの厳冬期用のスリーピングバッグ。当時のスペックによると-30度の気温でも使用できるクオリティである。今回は-2度まで温度が下がったが、寝ていて寒さを感じることはなかった。

それともう一つ、テントの下からの寒さを防ぐ断熱性の優れたマットがこの時期のキャンプには欠かせない。
最近の製品、サーマレスト・モンドキング 3D を使ってみたが、快適な寝心地と断熱性能の高さに驚いた。

骨董品とも呼べるテントとスリーピングバッグだが、当時とかわらない性能のおかげで寒くて眠れない夜という悲惨な状況にはならなかった。
気に入った製品を長く使うことは環境にも良いし、喜びもある。

古くても十分な機能を発揮するキャンプ用品に心より感謝したい。

暖かい陽ざしのなか、キャンプ撤収

2日目の夜も吹雪になった。
夜中の風も凄かったが、翌朝は晴天だった。

吹雪が嘘だったように積雪はすぐに解けた。

最終日が晴れてよかった。
午前中、気持ちのいい山のキャンプののんびり時間を満喫しながら、残った食料をたいらげ、テントや寝袋などを天日干し、キャンプ用品を片づけながら、だらだらと撤収作業と楽しんだ。

クルマへの荷物の積み込みを終え、三日間のゴミを処分した。
午後2時。キャンプサイトに残るキャンパーはいなかった。

 

 

アップサイクリスト冥利に尽きる出来事★バンフ映画祭バッグ

自分が製作に関わった製品に偶然出会うというサプライズな出来事があった。

製品というのは、使用済みバナー(屋外フラッグ)をアップサイクルしたプレミアムバッグで、翌年のイベント(映画祭)のアンケートプレゼントの賞品として製作された非売品である。

この偶然の遭遇に驚き興奮し目を疑った。
そして思わず声をかけた。

「このバッグに製作に関わったものですけど、ご迷惑でなければ写真を1枚撮らせていただけないでしょうか。」

バンフ映画祭(バンフ・マウンテンフィルム・フェスティバル)ワールドツアー東京会場でのことである。

バッグの持ち主の男性は快く承諾してくれた。
通行人の邪魔にならぬよう、控え目な感じで写真を1枚だけ撮らせてもらった。

とても長いこと愛用していただきありがとうございます!と伝えた。
こういう再会は本当に嬉しい。
アップサイクリスト冥利に尽きるのである。

思いがけないことが起こり興奮してしまって、肝心なことをバッグ所有者の方に伝えるのを忘れてしまった。

「もしバッグをお預かりできるのでしたら、取手の綿テープを新しいものに交換させていただけますか。」

またどこかで偶然お会いできる幸運はないだろうか。もしこの記事に目をとめていただく機会があれば、ご連絡をいただきたいと思う。

取手テープの交換を喜んで承りたい。

2015年当時の同デザインのアップサイクルバッグ

 

 

眼鏡のレンズ交換 OAKLEY A Wire Brushed Thick

近眼に加えて老眼も忍び寄る今日この頃。

年に一度の健康診断で目の健康状態をチェック。年齢とともに視力が衰え、老眼も入ってくるのは避けられない。とりあえずいま使っている眼鏡の度数は変える必要はないようだが、プラスチック製レンズのコーティングの剥がれが酷くなってきたので交換することにした。

眼鏡のフレームさえしっかりしていればレンズを交換するだけで長年使うことができるのでありがたい。「一生モノ」という言葉があるが、一生モノで使える眼鏡も多い。

今回、レンズ交換した眼鏡は OAKLEY オークリー社のサングラスを度付きレンズに入れ替えて使っている1本。2000年代初頭に買ったもので2度目のレンズ交換になる。

球面の角度が大きい8カーブの度付きレンズは加工が難しいので、僕はいつもスポーツ系眼鏡の取り扱いと加工に絶大な経験と実績のあるメガネナカジマの中島氏にお願いしている。世田谷区のお隣、多摩川を渡った中野島(川崎市多摩区)にあるお店までは自転車で30分である。

眼科の先生から処方してもらった最新の検眼データで新しいレンズを作った。フレームは OAKLEY A Wire Brushed Thick という15年ほど前のモデル。交換を終えて戻ってきた眼鏡はプラスチックレンズに傷ひとつなく、視界もクリアになった。

古い眼鏡もレンズ交換で新品のように生まれ変わる。
気に入った眼鏡を長く使うこともできる。

使い捨てない生活を心がけたいものである。

多摩川★2023年11月 自転車ライド

2023年の夏はとんでもなく暑く、爽やかな朝はどこかへ行ってしまったのかと思う毎日でした。

かつてない暑さの夏も、最初のうちは迫り来る異常気象の現実に漠然とした不安を感じていたものですが、気温35度の日が毎日続くとなるとカラダは暑さに慣れ、気候変動の危機を憂慮することもなくなりました。慣れというのはなんと恐ろしいことか。

今年の夏は一度も多摩川の河川敷トレイルにはいきませんでしたから、先日久しぶりに出かけた多摩川はなかなか良かったですよ、と言いたいところでしたがとんでもない。背丈を超える草が生い茂り、トレイルのはずの小道はかすかに形跡が残っているような。悲しい状況でした。

おまけに多摩川の川筋が変わっているではありませんか!

やわらかな陽ざしを浴びて、のんびり釣りを楽しんでいる人のいたあの川の溜まりは消滅。河川敷の緑地帯へ続くアプローチも分断されていました。あまりの変わり果てた姿に悲しみが湧いてきました。

川へ下りる小道を見つけ、草をかき分けて川辺に出ました。
草で覆われているトレイルを走るのは諦めて、石でごつごつした水際の浅瀬の自転車ライドを楽しみました。
通常のオフロード自転車ではうまく走れない悪路を、タイヤの太い自転車「ファットバイク」なら快適に走れてしまうから不思議です。

多摩川の河川敷にはいろいろなものが朽ち果てています。

この日は見るのも哀れなモーターバイクが1台、多摩川の景色に溶け込んでいました。
アルミと鉄の錆びは見事なものでした。

ときどき自転車を降りて、河川敷の大きい石に座ってぼんやり川を眺めて過ごす。
そんな時間もなかなか良いものです。

 

 

アップサイクルバッグ バンフ映画祭2023

昨年(2022年)のバンフ映画祭(バンフ・マウンテンフォルム・フェスティバル・ワールドツアー)の東京会場で飾られていた使用済みバナー(屋外フラッグ)をリサイクルして作ったアップサイクルバッグが完成しました。

バッグは毎年、改良されます。より使いやすく、より耐久性の持たせるように、ゲートシティ大崎の環境チームと製作を担当する福祉作業所「なないろ」さんと我々で、アイディア会議と試行錯誤が繰り返されます。

今年の改良点は二種類あるバッグのレギュラーサイズ(大きい方のバッグ)の取っ手の追加です。従来の肩に掛けられる長さの取っ手に短い取っ手を加えることで、荷物の重さや嵩(かさ)を気にせずに自由な持ち運びができるようになりました。使ってみるとなかなか便利です。

バッグに使う使用済みフラッグは長さ1メートル20センチ、幅40センチの2枚仕立ての生地です。60枚の使用済みフラッグから、生地を無駄にしないように(捨てる生地を最小限に抑え)、バッグのデザインと大きさを調整し、パターンを切り出すと、今年はレギュラーサイズ60点、スモールサイズ30点、計90点のアップサイクルバッグを作ることができました。

このアップサイクルバッグは、毎年、バンフ映画祭の東京会場限定のアンケートキャンペーンの賞品として入場者に当たるチャンスがあります。

今年は残念ながら、東京会場での上映は終わってしまいましたが、来年も開催されると思いますので、お忘れなきように!

稲刈り。自然農天水田@東京 2023.10.16

里山の天水田で自然農の米づくり

こどもの国(横浜市)のお隣の里山に僕らが借りる谷戸の田んぼがひっそりあります。

農薬も肥料も使わない自然栽培。里山から沁み出た水を使う天水田です。

谷戸の僕らの田んぼ

3週間ほど前に台風で稲が倒れてしまわないように、4本から6本の隣り合った稲を束ねて麻ひもで縛りました。田んぼの水抜きも済ませ稲刈りに備えました。

ところが今年は気候変動の影響なのか、台風はひとつも来ませんでした。いつもこの時期は、台風の動きを心配し、田んぼを気にする毎日なのですが、今年はすっかり拍子抜けしてしまいました。台風が来なくてよかったわけですが。

稲縛り

竹組み。稲刈り。ハザ掛け。美しい米づくり

『稲刈り』は一年の米づくりのなかでも田植えと並ぶメインのイベントです。気の合った仲間たちとの楽しい共同作業。忙しいメンバーたちの予定を調整したところ、今年は平日と週末の二日間で、ゆったりと流れる里山の時間を楽しみながら稲刈りをすることになりました。

平日組の稲刈りは、ハザ掛けの竹を組む作業が同時進行します。段取り良く、そして何よりも美しく。僕らの米づくりは「美しさ」にこだわるのです。竹の組み方はもちろん、紐のしばり方、稲の刈り方、稲わらで稲を縛るまとめ方、7対3のハザ掛けルールなど、美しさを生む仕事をしっかるするようにしています。美しい米づくりは気持ちが豊かになるので、ガサツな自分にとってはとてもいい学びになります。

稲刈り

竹を組んでハザ掛け

スポーツバイクメカニック講座を受講!

自転車生活の安全を支える自転車屋さん

自転車は、ちょっとした不注意や気の緩み、整備不良が原因で命を落とすこともある危険な乗り物でもある。
自分ではいつもそのことを自覚し、自転車の安全走行を心がけ、日常の点検整備も疎かにしないように気をつけている。

日々の簡単な点検整備は自分でするが、専門の知識や工具が必要なときは行きつけの自転車屋さんにお願いする。自分のちっぽけな知識より、自転車屋さんの専門知識とノウハウと確かな経験技術のほうが頼りになるからだ。安全な自転車生活をおくるうえで、自転車屋さんの存在は大きい。その縁の下の力持ち的仕事に心から感謝と敬意を払うのである。

スポーツバイクの初級メカニック講座

さて、2年ほど前、(一財)自転車産業振興協会の伊崎さんを訪ねたときのこと、協会主催の『スポーツバイクのメカニック初級講座』があることを知った。

スポーツ自転車のメカニックを養成する目的の講座で、いつか受講してみようと思った。自分の自転車メンテナンスの知識をアップデートしたいという気持ちもあった。

コロナ禍で休講していたが、今年(2023)から再開すると知り、その日に予定がないことを確認して申し込んだ。

2023年8月23日、スポーツバイクメカニック初級講座を受講することになった。

スポーツ自転車の整備のイロハを学ぶ

当日の受講者は8名だった。
現役の自転車屋さんは1名。それにEバイクのメーカー勤務の方、北海道の自転車ツアーガイドの方、自動車メーカーに勤める方という多様な顔ぶれだった。


講座は10時にスタート。
お昼をはさんで16時まで。
なかなかの長丁場である。

自転車を囲んでの体験型の講座に8名の参加者はちょうど良い人数だった。
例えば、ボルトやねじを適正トルクで締め付けるために使う『トルクレンチ』の使い方を学ぶ場面では、ひとりひとり実際に使う機会が与えられた。使ってみると、これがなかなか難しいことがわかった。道具を正しく使うために練習が必要なこともあるのだ。

通常のメカニック講座ではプロショップの目線から講義が進められるようだが、この日は受講者の顔ぶれを配慮して、専門的な内容をユーザー目線でわかりやすく丁寧に解説してくれた。

質疑応答も気軽に交わされ、終始リラックスした雰囲気で、約5時間の講座はあっという間に終わってしまったという感じだ。

専門的で少々難しいメカニックの講義も楽しみながら学ぶことができたのは、ご自分のエピソードや失敗談などを交えながらの名調子で講義を進めてくれた講師の河村さんのおかげである。ありがとうございました!

終わってみると、いままでとっつきにくく面倒だと思っていた自転車メカニックの敷居が少し低くなった。メカニックに必要なノウハウをひとつひとつ理解していくのは楽しいのである。

ちなみに僕らが講座で学んだのは下記の内容。

スポーツバイクメカニック初級講座の内容

【講義1】 スレッドレスヘッド -AHEAD- (仕組み・調整方法・規格)

【講義2】 チェーンの規格 (互換性と伸び)

【講義3】 締め付けトルク (トルクと軸力、トルクレンチの使い方、自転車ネジ)

【講義4】 ホイール関連の規格 (バルブの種類と空気圧、タイヤトリムの嵌合・ETRTO)

【講義5】 自転車の組み立て作業の前に (開梱・組み立て前のチェック、カスタマーサービスへの連絡)

【講義6】 GD値 (ギア比・タイヤ周長、GD値を用いた様々な計算)

 

自転車部品の規格が違うという憂鬱

同じように見える自転車でも、構造や部品が時代とともに改良(もしくは改悪)されて、過去の部品が使えなくなることも多い。

規格を統一しようじゃないかという動きも時々起こるけれど、その取り組みが現実的になることはほとんどない。そんなメカニック泣かせの自転車づくり、パーツづくりが続く現状にがっかりする。

自転車に新しさ、快適さ、速さ、機能ばかりを追求するあまり、古い自転車が見捨てられ、乗らなくなった自転車が増える。恥ずかしながら、自分もその類の自転車を何台か所有し、悲しいかなガレージの奥に埃をかぶって眠っている。

規格が変わって、互換性がなく使えなくなった古い部品が手元に残っているというのもよくある話である。使わなければゴミ。規格の合う自転車を探すというのもまた手間と時間がかかる。自転車の部品も埃をかぶってしまう。

自転車の世界にはこういう無駄が隠れている。

自転車は移動手段と娯楽がひとつになった素晴らしい乗り物

本来、自転車は移動手段と娯楽がひとつになった素晴らしいのシンプルな乗り物である。

コドモからオトナまで誰でも楽しめる便利な道具。
安価なものから高級なものまである価格帯のなかから、容易に入手できるのも自転車。
健康にも良いし、環境に与える負荷も少ない。

今回、スポーツバイクメカニック講座を受講したことが、自転車の輝く未来に何か少しでも役立てることができることを願うばかりである。