多摩川は菜の花の季節
晴天の多摩川は菜の花が満開だった。
気温20度を超える陽気が続いていた4月上旬の東京世田谷区西部地区。こんな陽気の日だと仕事をほっぽらかして自転車の気ままな旅で一日を過ごしたいところだが、そうもいかない。
通勤時間帯が過ぎたころの人通りの減った頃を見計らって、ちょいと多摩川まで足(自転車)を延ばした。
仕事の前に早朝サイクリング
仕事があるから河川敷を走るのは30分ほどにした。
誰もいない細いぐねぐね道をしばらく行くと見晴らしのいい砂地の丘陵に出る。ここはいつもひと休みする場所だ。砂地のアップダウンを上ったり下ったりして少し遊んだあと、石でごつごつした河原の道なき道をゆっくりとペダルをこぎながらバランスを取って止まらないように進む。河川敷の自転車ライドはけっこうカラダと体力を使うのだ。
つい先月までは殺風景だった多摩川の河原の景色は冬枯れの樹木が芽吹き、瑞々しいエネルギッシュな新緑の世界にかわっていた。河川敷に広がる多彩な地形と季節を感じる風景のおかげでたかが30分ほど走っただけなのに心もカラダも満たされる。
多摩川の自然よ、ありがとう!
気持ちの良いこの季節、仕事をさぼって多摩川サイクリングへ出かけるのも悪くないと思う。
子どもたちに人気の極太タイヤの自転車、ファットバイク
さて、いつまでも遊んでいるわけにもいかないのでライドを早々に切り上げて多摩川をあとにする。アタマとカラダがスッキリして俄然やる気もみなぎってきた。
帰りの遊歩道で小さな男の子の手を引いた散歩中のお母さんと会った。その三歳くらいの男の子が僕を見て(正確には自転車のタイヤを見た、だね)お母さんに話しかけた。
「見て、あれ、あれ。おっきい。おっきいタイヤ。おっきいタイヤ。」だってさ。
僕の自転車は極太タイヤのファットバイク。見た目のインパクトはなかなか強烈だ。小さな子どもが振り返って太い自転車のタイヤにくぎ付けになるのも無理はない。
太いタイヤのファットバイクはどこでも子どもたちの人気者だ。僕はその男の子に笑顔を贈り、手を振った。ここで自転車乗りの良い印象を与えておけば、彼は自転車を大好きになってくれるかもしれない。
そんな自転車文化伝道師としての目論見が条件反射的に出てしまった。引き続き、自転車文化を拡げるための啓もう活動は日々怠らないように努力したい。
男の子と別れてしばらく走ると住宅地に入った。そこでもまたまた散歩の親子連れとすれ違う。自転車の速度をゆるめ、注意しながら追い越したときのこと、子どもの声が聞こえた。
「おっきいタイヤ。おっきいタイヤ。おっきいね。」
ここでもやはり太いタイヤは子どもたちの注目の的。僕は男の子を振り返って、またまた笑顔を向け、手を振った。自転車を好きになってくれるかな。
コロナ禍でのささやかな自転車の楽しみ
東京世田谷区西部の緑は日ごとに美しく深まる。
この季節は絶好のサイクリング・シーズンだというのに、東京都の新型コロナウイルス感染は拡大中。東京都23区では新型コロナウイルス緊急事態宣言に準じた対策「まん延防止等重点措置」が4月12日から実施された。5月の連休後の11日までの1か月間続くことになる。
この1年間はコロナ禍で会合や外食を控え、外出は自粛、泣く泣く引きこもり生活を実行し、アルコール濃度74%の消毒液で感染予防を毎日徹底してきた。こんなわが身にこれ以上のどんな感染予防対策をやれというのだろう。
新型コロナウイルスの感染に怯えることなく能天気に自転車を楽しめる日はいつになるだろうか。
しばらくは自転車が運んで来るささやかな楽しみと喜びに感謝しつつ、地道なコロナ感染予防対策の生活を粛々と続けていくしかないのかなと思う今日この頃である。